湯津上屋 新富町

 狭い路地で知る人ぞ知る、みたいな感じでやってる店はすごい好きです。

茅場町のみかわを思い出させる狭い裏路地でしたが、もはやスマートフォンのおかげで「近くまで来ているはずだけどどこにあるのかわからない」ということはありえなく、インターネット+スマートフォンのおかげでそういう隠れ家的な店はほとんどなくなったでしょう。

 

 こだわってやってる店が多く見受けられる業界の一つが蕎麦屋だと思います。

ラーメン屋よりも求道心というか、金儲けに走らず自分の理想を追い求めているだけ、「より多くの人に食べてもらいたい」というわけではなく「わかる人だけが食べてわかってくれりゃいい」的な、ただ頑固ではなく、難しい人がやってるという印象がある。

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 ここもそんなめんどくさそうな(失礼)雰囲気が漂っていた。

 こだわってやってるところはすごいいいと思います。

寡黙だろうが無口だろうがそんなこともどうでもいい。

蕎麦打つ店主がおしゃべりだったらうまい蕎麦になるのなら別ですが、そんなことはないから。

時間かかるのも気にしません。

そうと言って(書いて)もらえてれば心構えは出来ますから待てますし、それだけ自分に出されるものを集中して作ってくれてるんだと思えばそれは喜びでしかないですし。

 玉子焼と、すだちそばは昨日食べたので鴨汁にしました。

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 先に出された玉子焼きの丁寧そうな仕事を見てもそこは納得。

自分は比較的耐性あるんでしょう。こういう「全ては美味しいものを出すため」と割り切れて、実際おいしいものさえ食べられたらある程度のことは我慢できるというか(笑。

 並び始めてから蕎麦が出てくるまで1時間半。待つこと店外で45分、店内で45分。

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 フツーにおいしくいただきましたし、すだちそばは前日食べた山茂登より900円(税込み)と安く、待った時間も含めてアトラクション的な満足度もそれなりにあったと思います。

 蕎麦の香りはほとんどしなく、食べやすい蕎麦という感想。

たぶんそばとつゆのバランスがいいんでしょうね。そういう時にこの感想になる気がします。鴨肉が美味かったです。最近マズイ鴨肉の店があったのでそれは際立ちました。ですが

そんな待ってまで食べて感動させられるものではありません。

 また行くかと問われれば、また行くと思います。冷かけすだちやとろろ、のりかけを食べに。(とろろを食べましたが、ここの蕎麦とは相性よくないという感想です)

ただ待ってまでは食べません。待つくらいならそれこそ近くのエドグランの山茂登に行きます。っていう「そこじゃなきゃダメ」っていう水準のものではなく、こだわっていそうなんだからこれくらいのモンは出してくるだろっていうフツーのうまさなので。

 蕎麦のことは詳しく知らない食べることだけが専門分野の素人ですから、大変難しい技術で素晴らしい水準の蕎麦を打ってるのかも知れません。ですがそんなの素人には伝わりません。

 仮にそうだとしてそう説明を受けても、うまくなかったら「はぁ?(だから何)」で終わりでしょそんなの。

 薀蓄が好きな人はそういう背景とかから味わえるのかも知れませんけど、自分にはない感性。

 

 と、こういう感想になってしまっているのには大きな訳があります。

時折その時までの感想とは別に、それに影響してくるほどの考えさせられる事象が発生することがあるんですが、蕎麦が売切れてしまった後それが起きました。

 暖簾は中に仕舞われていたんですが、それに気づかず入って来て席に座り待とうとした客に向かい

 「・・・暖簾・・・出てなかったですよね・・・?」

 自分に向かって言われた言葉じゃありませんが、どこかからはるばる(デカめのスーツケースから)ここの蕎麦を楽しみにやって来た客に向かって言う言葉じゃない・・・・・・・・・・・・・・・・

 言われた客の気持ちを考えたら「もっと他に言い方あるだろ・・・」って、その場に居合わせただけなのに気持ちが萎えさせられました。

 もし仮に自分がそう言われてたらと想像すれば悲しくなりませんか?

 その人がもう日本には戻ってこないつもりで最後に選んだ食事だとしたら?

 その人が久しぶりの帰国でわざわざ東京へ寄って食べに来ていたら?

 外国の方ではありませんでしたが、ネットで自分のイメージ通りの店で本当の日本の蕎麦を味わってみたいと苦労してそこまで来ていたとしたら。

自分がもし海外で同様の目に合っていたら、その国の印象すら変わってると思います。

  • 外で待っていていつ店内に入っていいのかわからないのもいい
  • 前の客の食べたものがいつまでたっても片されないのもいい
  • 注文するのにどの間で声をかけていいのかわからないのもいい
  • 「ごちそうさま。会計お願いします。」と声をかけたのに返事がなくてもいい

 前日の山茂登の接客の良さとの違いっぷりに、「こういう感じでやっててもまかり通っちゃうんだから東京都心ってすごいな・・・」とひたすら呆れて驚いていたんですけれど、寡黙や無口なのと不親切なのって違うと思うんですよ。

上三つまではそういう様式の店だと、勝手がわからないので黙ってしたがっていましたが、蕎麦をすすっている最中に訪れたそのどれだけ遠くから来たのかもわからない客に向かって投げかけた言葉の無配慮っぷりに呆れさせられました。

「会計を」と声をかけた後どうしたらいいかわからないので、「お待ちください」までは無理だとしても聞こえてるのかすらわからないので「はい」という返事くらいはして欲しい。つかそれぐらいしろよっていう。

 これは人として。

店として客を迎え入れたのなら、その直前までに何があったとしても、最低限はして欲しい。

どーりで前日今から行ってもいいかと確認したくて電話したのにずーーーっと出ないわけだよ。

 

 以上これを読んでも行きたい人は行けばいいと思うし、少しでも嫌な思いをしたくはないっていう、こういうのが好みでない人は行かない方がいいと思います。

たぶん店主も自分の流儀に合わない人には食べて欲しくない。と思ってやっているんだと思います。

 暖簾もわからない野暮な客だと思ってなのかも知れませんし、自分も野暮い客だったのかもしれません。けれど気分悪くしていいことってないと思うんですよ、お互い。

 ホントフツーにウマイ蕎麦だったのが、本当に普通の蕎麦になりましたから。

実際ここよかおいしい蕎麦を打って出す店なんて信州行ったら飽きれるほどあるでしょうし(最近食べ歩いていてこの点には疑問を感じ始めました)、都心にだってあると思います。そして気持ちよく食べられる店は他にいくらでも在りますよ。

 

 追記 玉子焼きもフツー、運動会で食べるお母さんのお弁当の味す(否定的な意味ではありません)。

 香りの強弱についてよく書いてますが、そばの好き嫌いを判断してるのはのど越し感(食べた感じ)のみです。

蕎麦きり 京橋 山茂登 京橋エドグラン

 すだちそば。食べようとしても東京ですらどの店でもあるとは限らないため、たまたま寄った店の品書きにあるだけで喜べますし、店先にその旨書いてあればそれで入る理由になります。

 宿泊するホテルの近くにすだちそばを出す店があったのでそちらへ行こうと考えていたんですが閉店時間が20時。19時前で余裕ありましたが確認の電話をすると本日既に蕎麦切れ。

「さて・・・じゃ何を食べようかな・・・」と東京駅からホテルまでの道のりをテクテク。なにかいい店に出会わないものかと歩いていた途中なんとなく吸い寄せられた建物がエドグラン。

 あまりこういう商業ビルの低層階での飲食店(特に東京駅周辺)でいい思いをしたことがなく、時間がない時以外避けるようにしているのですが、「すだち」と書いてあるのを見つけて

 まぁこれは縁だな・・・

と入ってみました。

こういう家賃の高そうな商業ビルの2F~B1あたりにある飲食店って無駄に高そう(綺麗)に見える割りに、席間だとか居心地は単価に見合っていないファミレス以下で、出されてくるものやサービスもその程度の店レベルで余計高く感じさせられ、ガッカリさせられることばかり。

後は埼玉の大宮でこういう洒落乙な、蕎麦屋じゃない蕎麦押しな居酒屋で思いっきりハズしていたからでしょうね、嫌なイメージがついていたのは。

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 そんな感じで大変失礼なんですが、全くお店のことは知らず、真新しいビルの地下1階、今風で小奇麗な蕎麦屋という外見だけで判断してしまっていましたが、給仕の方の質が大変高い。

アラサーと見受けられる男性が2名が接客されていましたが、このお二人、どちらともとても気がつく感じの立ち振る舞いをされていて、名の通ったホテルの仕事のできるコンシェルジュを思い出したほどの気の配り具合。

 接客の態度というんでしょうか、声のかけられ方や、ちょっとした言葉遣い、その時の表情の違いかもしれないですが、店を出た後「あぁここで食事出来てヨカッタ。」ってとても良い気分になれてましたから。

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 1000円のすだち冷かけは大根おろしがある型で、おろしは松原庵の鬼おろした大根の方が味(バランス)も食感もいいなと思ってしまいましたけど、美味です。

 

 翌昼行った店がこことはまったく正反対の愛想のない接客をする店だったのもあって余計考えてしまいながら書きましたが、イヤな気分にさせられたらどんな美味しいものでも半減すると思うんですよ。逆にイイ気分にされたらちょっとマズイもんでも損したとまでは思わないと思うし。

 

 暑くて汗をかいた日のつゆは格別で、夏の暑い日のが合いますね。

 

2018年6月追記

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 再訪して鴨せいろを食べましたが、ちょっと汁の感じが自分の好みからはずれているためか、すだち冷かけを食べた時ほどの「合ってる」感じはしませんでした。

9 〆

 書きませんでしたが、惜しいと思ったボツ写を集めて〆に。

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 ドラッグストアでペットボトルの綾鷹を買った直後に見かけて「せっかく(来ているの)だから・・・」と追い買いしたお茶。「さすが」においしかったけれど値段の高さに引いてボツ。

ただ買って後悔はしなかったし、また前通ったら買うでしょうから価値はあります。ただ高い。

 

 次、晩飯求めてさまよっていたいた時みかけた蛸壺駅弁。

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30種類は並んでいた駅弁群の中で一際目立ちました。っつか目に入ってきた後他とも見比べましたが、これよか魅力のある駅弁は見当たらず、売り切れも納得。

翌日の夕方、16時くらいかなー、にも見たんですけど売り切れてて買えず。

冷めても美味しいっていうか、冷め切っている「駅弁」の状態で食べたくなる弁当って物凄く少ないと思うんですよ。

 隣に炊き立て、焼き立て、作り立ての弁当屋があっても「そっち」を選ぶのか?っていう

部屋の感じが良くて部屋飯したかったってのもありますけど、まぁ美味しそうに見えてました。

実際2日に渡って買おうとしましたし。

 

 でその代わりに食べた夕飯その1

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すだちそばを諦め切れなかったわけじゃないんですが、1時間以上ウロウロしても「これ」というものを見つけられずしかたなく選んだすだちそばのセット。

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暑い日だったし冷たいそばだと思っていたら温かいそば。

なのはまだ許せたけど、すだちそばがまったくうまくなくて悲しくなった・・・。

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メモっといた感想を書いちゃうと、ダシの香りが(温かいそばのせいか)強すぎてそばの香りがしないのにすだちの匂いもかき消されてて味のみな感じ。

一応すだちの味のするそばつゆを飲んだらなんだかコンビニのそばのそばつゆみたいな後味。

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逆に蕎麦屋だろうしと全く期待してなかったわっぱ飯がめちゃくちゃ美味しくて、わっぱ飯だけでいいなこの店は・・・と思ってしまったほどで、この店すだちそばとしてはお蔵入り。

 

 さらにダメージを受けたのは天麩羅おおみを訪れる翌昼の大津駅にて見つけてしまった(冷)・・・。

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しかも駅そばなんて。。。なんてうらやましい。300円の鶏天丼とのセットで食いたかった。

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 代わりの夕飯その2

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琵琶湖から帰ってフロで汗を流してインターネットを駆使するも行きたい店を見つけられず。。。

 「もう部屋で牛丼(吉野家)でいいか、この部屋なら持ち帰りの牛丼似合うしテレビ見ながら食えるし・・・。」

って諦めて部屋飯に決めて牛丼買いに向かったら宿の間近でお好み焼き屋を発見し、ダメ元で持ち帰り可能か聞くとまさか可能という返答。

軽めの粉もん(明石焼き)しか食べてなかったし、近所のいか焼き屋つぶれて久しいし、ねぎを食べたい気分だったし、対応してくれた店員さんが親身すぎてくれたので米飯をやめて購入。

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に留まらず牛丼を諦め切れず焼いてもらってる間に買いに行ってしまうという暴挙に。(さすがにこれは多すぎて半分は朝食に回りました。)

とにかく旅館を気に入ってしまったので、この侘しい一人晩飯、宴会状態が逆に楽しすぎた。

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ちなみにそんな優しくナイスな店員が居るのはここの京都駅前店。

 

 あともう一つ印象に残っているのが、名古屋の乗り換えついでで寄った名古屋JRゲートタワーホテルなんですが、ここでまた「部屋見せてくれ」って言ったら断られた(苦笑。

 日本国内でこう尋ねたことは2回しかないんですよ。そこまで気になるホテルなんてないから。

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 バンコクのマンダリンオリエンタル、台北のマンダリンオリエンタル、京都のリッツカールトンに続き4ホテル目。

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ここでは聞いてませんが、空きがあってすぐ泊まれる状態の部屋があるって言っといて見せてくれないのはなんでなんでしょうかね?

見せてくれないホテルが多いのなら気にならないんですが、バンコクのデュシタニみたいに「部屋を見せて欲しいんだけど・・・」って伝えただけで3部屋(カテゴリー)も用意してくれるところがあったから、断られた時余計に悲しいんですけど・・・了。

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